SHARE

(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

HOME > シェアの活動 > 南アフリカ > これまでのプロジェクト > 南部アフリカ調査-ジンバブエ

スタッフ日記 現場の声を毎日配信

南部アフリカ調査-ジンバブエ

南アフリカ

コミュニティの「跳ね返す力」 ボランティアのがんばり

ジンバブエ_南部アフリカ調査

ジンバブエの中規模都市グウェル郊外の住宅地では、MASOというNGOの主導の下、40人のボランティアが自分の住む地域のエイズ患者(訪問対象者700人)を訪問している。今回の調査では家庭訪問に同行させて頂いたが、歩いて回れる範囲に3件の重症患者がいた事に感染の広がりの深刻さが感じられた。
一軒目は夫婦が陽性で、夫はベッドから動けない状態、妻も頚部腫脹で相当の痛みを経験しているようだった。祖父が二人の面倒をみていたが、狭い部屋に夫婦とその子らが生活しており、両親が患っている結核が彼らに感染しないか心配になった。
二軒目は、夫婦共に陽性であるが、特に女性の症状が重くほぼ寝たきりの状態で、陰部ヘルペスを患っていた。夫はそんな妻を介護するでもなく出歩き、帰宅すると「家事もろくにできない役立たず」と妻を罵るそうだ。彼女は、「夫も職が無く生活が苦しいので、出来れば田舎に帰りたい。」と言う。
三軒目の家では、ほぼ寝たきり状態の母親を3歳の少女が世話していた。1歳の病気がちな弟の面倒を見つつ、母親の指示に従って洗濯や料理から、ラジオのチューニングまでてきぱきとこなす幼い子どもを目にして、胸が締め付けられるような思いがした。ボランティアの女性は、「夫が亡くなって以来、家賃の支払が滞っているので、家主はこの家族に退去を要求している。もしも母親が亡くなると、残った子達がどうなるのか...」とつぶやいた。もともと教会の関係でボランティアとして参加し始めた彼女は、既に10数年に渡り家庭訪問をし、必要に応じてMASOから支給された軟膏や消炎鎮痛剤及び乾燥魚を配布している。彼女の献身的な姿はコミュニティの「問題を跳ね返す力」を見せつけられたようで勇気付けられたが、マスク無しで重症患者への訪問を繰り返す彼女自身への結核等の感染および彼女が外部から患者宅に日和見感染源をもたらすことの危険も感じた。
ジンバブエの首都ハラレ郊外の住宅密集地に事務所を置く「Chiedza 希望の家」は、陽性者が中心となって活動する団体である。思う様に薬も手に入らない中、元気な陽性者はグループ活動を通じて励まし合い、知識を共有し、更に体の弱った人々の家庭を訪問し、陽性者の視点から助言をしている。最近は、孤児を引き取らずに財産の分配だけを受けようと企む親類縁者が多い為、陽性者には遺言を書くことを推奨していると言う。600人を超えるエイズ孤児へのケアも課題であるが、家族に陽性者を持つ子が学校において差別を受けるケースも多く、地域に根ざした活動を実践している彼らに対するニーズは多い。代表のスーザンさんは、「地道な活動が結実して、感染の事実を受容し、活動に賛同するメンバーも増えてきた。やりたい事は沢山あるけれども、資金面を含めた組織力が足りない。」と話す。

スピーチ大会の様子 事務所概観 預かっているエイズ孤児.jpg


写真(左):MASOが実施した小学生によるエイズ対策スピーチ大会の様子。
写真(中央):Chiedza希望の家事務所概観。毎日数十人のHIV陽性者や孤児、ボランティアが出入りする。
写真(右):Chiedza希望の家のスタッフが預かっているエイズ孤児。
寄付・募金:シェアは認定NPOです。皆様からの寄付は控除の対象となります。
  • 継続した支援が必要です!

  • シェアオリジナル壁紙を購入して国際協力!

  • 募金サイト イーココロ!